中学の時の

友人で未だ職についていないヤクザな5人(JICA(青年海外協力隊)マダガスカル*1,東大社会学*2,東大言語学*1,名大生命理学*1)で駒場に集まり研究発表会をする。素人に話せば冷たい目をされ、プロと話せば息の根が止まりかねない突っ込みが入るこの業界、自分の思いを思う存分吐き出す場所を作ろうということで、年始の同窓会以来半年プランを暖めてきたのだった。最初はTさんとMと3人でやるつもりだったが人が増えて良かったな。
社会学の人が多いことが予めわかっていたので、システム論、砂山のパラドックス、機能主義、チューリングテスト、という流れで最後に生物時計の話をする。そこそこ面白がってもらえたみたいだ。オートポイエーシスの話を俺がもっと知っていれば、社会学の文脈でもっと話せたかもしれないのが残念だ。
Fはマダガスカルの話。マダガスカルの子供に絵を描かせたら全く描けなかったそうだ。絵も文化的なコンテキストで獲得されるものだ、ということが驚きであった。あとスポーツマンシップというものもマダガスカルには無い、とかそういう話をしてくれた。しかし"無い"とはどういうことか?ということを質問してみる。それは西洋文化と対比させた結果無いように見えるだけ、無いと理解した瞬間無いが、それまでは無いことすら無かったのではないか?もうちょっと言えばJICAのやっていることは西欧化だけなのか?と議論は白熱。彼らもJICAもポリシーにものすごく困っているらしい。
Mは社会学で、精神病がどのような言葉で語られてきたか?という話。現代は過去に比べて「心が傷つく」という言葉に表れるように、外環境が直接精神を攻撃するようなイメージをみんながもっているようだ。なるほど。PTSDとか、うつ病、とか神経症とか、精神病を表す言葉は流行り廃りがあって、しかもリズム現象であるようだ。ネガティブフィードバックモデルが成り立つのだろうか。
Tさんは言語学で、音韻論。特に借入語の音韻論。例えば、EnglishがIgirisuになる過程を調べている。彼女はとにかく分類して整理することが仕事の大半のようだ。借入語の音=f(元の言語の音)となる関数fを発見することが彼女の究極の目標だとしたら、機械学習の手法が使えるのではないかと思う。教師データは辞書の発音記号から取ってくればいいわけだし豊富にあるしね。誰かチャレンジしてみたらどうだろう。分野が確立したらLinguisticInformaticsと呼ばれるのかいね?ちなみに、この借入語の音韻論をやっている研究者は日本で5人くらいしかいないらしいよ。チャンス。
Tさんも社会学で、ジェンダー論者。「男と女は平等」という言説、「男と女は共同して働くべきだ」という言説、「男と女は分業している」という事実とのギャップについて検討した、という話。彼女は性格には社会心理学という分野らしいが、社会学と何が違うのかよくわからない。社会心理学はみんなの幸せを追求する学問だと言うので、うむむと思ってみんなという人は実際いないわけだが、その人の幸せとは一体何を指し示しているのかと質問したら彼女がヒートアップしたので面白かった。あと、ジェンダーイデオロギーはどうして結びついてきたのか?と質問し議論を少々。ここはもっとしたかったのだが時間切れだった。
夜は渋谷駅前で飲み会。中学のとき超まじめさんだったTさんが、ぐいぐいお酒を飲んでいる姿をみて衝撃を受けたのはまた別の話。