創発夏の学校

講師の人、誰一人知らないのですが今年はあやしくて面白そうです。
行きたいなぁ。社会性昆虫の話とか。

第12回創発システム・シンポジウム「創発夏の学校」
http://www.yano.riec.tohoku.ac.jp/ess06/

テーマ :生体システムのしくみと創発
期日 :2006年8月18日(金)〜20日(日)
会場 :インテック・大山研修センター

申込締切:2006年7月20日(木)(参加申込,ポスター申込共)
参加定員:100名
参加費 :
一般 30,000円(参加費 14,000円,宿泊費等 16,000円)
学生 20,000円(参加費 4,000円,宿泊費等 16,000円)

参加/ポスターセッション申込方法:
ホームページ(下記URL)からお申込みください.
http://www.yano.riec.tohoku.ac.jp/ess06/

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シンポジウム概要
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計測自動制御学会システム・情報部門では,第12回創発システム・シンポジウム
を開催します.今回は,これまで当シンポジウムで行って参りました講師の先生
方によるチュートリアル形式の講演に加えて,講師の先生方を囲んだ輪講形式の
グループディスカッションの時間を設けます.グループ分けについては参加申し
込み情報をもとに行い,講師の先生の研究成果資料や論文等を配布することで事
前学習していただきます.また,各グループには関連分野に詳しい先生をチュー
ターとして割り当て,ディスカッションでの内容理解や議論が進むようにお手伝
いいただきます.最終日には,グループ毎にこれらのディスカッションの内容を
報告してもらうとともに,内容をふまえた上での仮想研究発表を行っていただき,
総合討論によりシンポジウムのまとめを行う予定です.このような形式のもとで,
特に学生をはじめとする若手研究者にとって,創発システムについて考える有益
な機会を提供していきたいと考えております.また例年どおりポスター発表を募
集します.ベストポスター賞の表彰も行いますので、特に若手研究者(大学院生)
は奮ってご発表ください.多数の方々のご参加をお待ちしております.

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プログラム(敬称略)
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■8月18日(金)
14:00〜14:20 開会の辞

14:20〜15:40
「生物の情報処理と価値表現 ― ナメクジの嗅覚系とネズミの情動系」
理化学研究所 木村哲也

16:00〜17:20
「社会生理学とは? 昆虫社会における自律分散型システム」
琉球大学 辻和希

19:00〜20:20
「渋滞と群れの数理と実験 ― 自己駆動粒子系の新しい世界」
東京大学 西成活裕

■8月19日(土)
9:00〜10:20
「運動学習メカニズムの多重性と階層的制御機構」
東京大学 川原茂敬

10:40〜12:00
「神経系はなぜ束なのか-神経系の基本構造に関する情報論的考察」
北海道大学 下澤楯夫

13:00〜15:00 グループディスカッション
各講師を囲んで5室パラレルで行います.
輪講1:木村哲也 「大脳基底核と価値表現」
輪講2:辻和希 「動物の社会行動」
輪講3:西成活裕 「避難と渋滞の数理と実験」
輪講4:川原茂敬 「動物における個性について考える」
輪講5:下澤楯夫 「マクスウェルの魔物と情報のエントロピーコスト」

15:30〜17:00 ポスターセッション
18:00〜 懇親会(恒例屋外バーベキュー)

■8月20日(日)
9:00〜9:50 「各輪講グループからの報告」
10:00〜11:15 「仮想研究発表会」
11:30〜12:00 「総合討論」
12:00〜12:10 「閉会の辞」


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チュートリアル講演概要
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1.「生物の情報処理と価値表現 ― ナメクジの嗅覚系とネズミの情動系」
木村哲也 理化学研究所
学習といった脳機能拡張過程は、進化論的に獲得され価値付けされた情報を個体
ごとの経験に基づいて拡張する過程とみなしてよい。従って、新たに獲得された
脳機能(記憶)は既にある価値情報空間の上にマップされていると考えられる。
講演では、価値情報が獲得された記憶にどの様に表現され、どの様に機能してい
るのかをナメクジ、ラット等の実験例等で示す予定です。

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2.「社会生理学とは? 昆虫社会における自律分散型システム」
辻 和希 琉球大学農学部 生産環境学

アリやミツバチなどの集団生活を営む昆虫類は社会性昆虫と呼ばれる。それらは
個体が超個体であるコロニー(社会)の部品として働き、全体として驚くべき
機能を発揮する。その裏にある制御機構は、例えば自律分散型ロボットの制御
プログラムのヒントにするため、あるいはやはり社会的動物であるヒトの行動
を理解するためなど、生物学だけでなく様々な学問分野から注目されてきた。
この講演では昆虫社会の制御機構研究の成果を概観し、将来の展望を議論する。

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3.「渋滞と群れの数理と実験 ― 自己駆動粒子系の新しい世界」
西成活裕 東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻

車や人々、さらには蟻などの生物集団は、自ら動くことのできる自己駆動型の物
体であり一般にニュートンの運動の法則を満たさない。このような集団運動を
複雑な機能性流体として考える研究がここ10年で飛躍的に進展してきた。講
演ではルールベースの離散モデルによりこれらの集団運動と渋滞形成の特徴に
ついて議論し、さらにいくつかの実験結果も紹介する。

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4.「運動学習メカニズムの多重性と階層的制御機構」
川原茂敬 東京大学大学院薬学系研究科

生物における情報処理の特徴の1つとして状況に応じた柔軟性が挙げられる。感
覚情報はただ単に処理されるべきデータとして入力する以外に、処理するプロ
グラムの選択・修飾に重要な役割を果たすと考えられる。本講演では、小脳依
存的な運動学習の1つである瞬目反射条件付けを取り上げ、ノックアウトマウ
スや部分的脳破壊実験から得られた結果に基づき、複数の可能な学習メカニ
ムの存在と上位中枢(海馬)による階層的制御について議論したい。

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5.「神経系はなぜ束なのか-神経系の基本構造に関する情報論的考察」
下澤楯夫 北海道大学電子科学研究所神経情報研究分野

コオロギ機械感覚細胞は熱雑音を検出できるほど高感度であるが、情報のエネル
ギーコストは統計熱力学上の理論限界である0.7kBT[Joule/bit]に近く、細胞
は熱雑音に曝されていて観測装置としては「粗悪品」であることが分かる。一
方で、かつて低かった感度を上げて熱雑音領域に近づくことは観測器としての
自殺を意味するから、細胞の熱雑音感受性は進化の結果ではなく生命の起源に
遡る拘束である。これらの計測と情報の負エントロピー原理に基づいて、生物
の多細胞化や神経系の基本構造は、確率統計学の「加算平均原理」が表れてい
ることを述べる。



主催:計測自動制御学会 システム・情報部門
協賛:計測自動制御学会 システム・情報部門「身体・脳・環境の相互作用に
よる適応的運動機能の発現に関する調査研究会」
企画:自律分散システム部会,知能工学部会,システム工学部会

校長 菅原 研(東北学院大学 教養学部 情報科学科)
教頭 川端邦明(理化学研究所 分散適応ロボティクス研究ユニット)
幹事 冨田 望(東北大学 電気通信研究所 実世界コンピューティング研究部)